障害年金の遡及請求は難しい?条件と注意点を解説!
こんにちは、社会保険労務士の渡辺です。
最近「遡及請求(そきゅうせいきゅう)」に関するお問い合わせが増えています。
そこで今回は遡及請求の概要・ポイント・注意点・遡及請求できた事例をご紹介します。
遡及請求とは
遡及請求とは、認定日時点で障害年金のことを知らずに請求しなかった場合、障害認定日時点に遡って過去分の障害年金を請求できる方法です。
遡及(遡り)が可能な期間
遡及できる年数は最大5年間です。
事例では障害認定日から請求日まで9年ほど間隔が空いていますが、9年分の年金がもらえる訳ではなく、時効で権利が消滅した部分を除く5年分の年金を遡ってもらうことになります。
障害年金の遡及請求のポイント
遡及請求の場合、特に重要なのは初診日を○年○月○日と明確に証明することです。
たとえば上記事例のように、初診日が「平成23年10月15日」と特定されていなければ、障害認定日も「平成25年4月15日~7月14日」というように特定できないからです。
当然ながら、診断書の内容が障害認定基準に該当していることも重要です。
また、障害認定日から請求日までの間、一定期間就労し、ある程度の収入がある場合には障害状態が継続したものではないと判断され障害認定日時点は不支給とされることもあります。
障害年金の遡及請求が認められやすい傷病
初診日や障害認定日を明確に証明しやすい傷病は、遡及請求が比較的認められやすいと言えます。
人工関節
手術日が認定日となりやすく、医療証拠を整えやすい点で、遡及請求が認められる可能性が高いと言えます。
人工透析
透析開始日は医療記録が明確で、障害認定日も特定しやすいため遡及請求が認められる可能性が高いです。
脳梗塞
脳梗塞は発症時期や初診日が明確で、後遺症が症状固定として判断されやすい病気です。麻痺や言語障害など日常生活の困難さに直結する後遺症は障害等級に該当する可能性が高く、診断書や検査データが揃いやすいこともあり遡及請求が認められやすい傷病です。
障害年金の遡及請求の注意点
遡及請求には上記の通り条件があります。すべての方が遡及できるわけではありません。
遡及できなかったケースもありますので解説をします。
遡及できなかったケース
相談者
男性(30代/障害者雇用)
傷病名:うつ病
経過
大学卒業後、大手企業に就職し管理部門に配属された。
毎日残業に追われ終電で帰宅する状況が続き次第に心身ともに疲労が蓄積。
倦怠感、頭痛、吐き気などの症状が続き日常生活に支障をきたすようになったため精神科受診。通院を続けたが2度の休職を経た後、退職。
その後、障害者手帳を取得し大手企業グループの会社にて障害者雇用で就労。
職場は障害者に手厚い援助をしていたが、それでも欠勤が多く不安定な状態が続いている。日常生活も家族の全面的なサポートが必要不可欠。
審査結果
障害認定日不支給 請求日 障害厚生年金2級
社労士の見解
請求日は障害者雇用で就労中とはいえ、抑うつ状態、不安、思考抑制等により日常生活、就労ともに周囲のサポートが必要不可欠な状態だった。診断書にもこうした状況を医師に記載いただいたことが2級認定につながったと思われる。一方、障害認定日については正社員で就労中だった。1度目の休職から復職して1年経過しており、ストレスを感じていたものの通常に勤務していた。
その1年半後に2度目の休職に入るが、それまでの間は何とか出勤しており、周囲の援助もなく仕事や日常生活をこなし、給与も相応の金額だった。診断書にもこうした実態が記載されていたことにより不支給になったものと思われる。
当事務所でサポートして遡及請求が認められた事例
当事務所でサポートをした遡及請求の事例はこちらです。
精神疾患で障害年金の遡及請求が認められたケース
>>>統合失調症で障害基礎年金2級を取得、さかのぼりで約420万円を受給できたケース
身体障害で障害年金の遡及請求が認められたケース
>>>関節リウマチで障害厚生年金2級を取得、さかのぼりで約750万円を受給できたケース
>>>人工肛門(直腸癌)で障害厚生年金3級を取得、総額約320万円を受給できたケース
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ここまでご覧いただき誠にありがとうございました。
遡及請求には条件があり、すべての方が可能なわけではありません。ご自身が遡及請求が可能か気になる方はお問合せください。
遡及請求は最大5年間と時効がありますので早めのお問い合わせをおすすめします。
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